こんばんわ!一級です。
みなさん1級建築士の合格率はご存知ですか?
引用:建築技術教育普及センター
平成29年の合格率は10.8%。製図40%程度の合格率は、厳しい学科をクリアした優秀な方の集まりと考えれば、決して高い数字ではありません。その中には、1回以上の製図を経験して、ノウハウや技術がある猛者もいます。
平成25年から減少傾向ですが、数字だけを見て焦る必要は全くありません。たくさん勉強しないといけないとか、思わなくてOKです。資格学校のテキストを7割5分理解すればOKです。
以下は、私が学校に通っているときの経験や友人などの合格者の話を聞いて受かりそうなタイプを3つに分けてみました。
すこしばかり、勉強の取り組みの参考にしてみてください。
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スケジュール管理ができる人
学科だけで言えば、800~1000時間の勉強時間が必要だと一般的には言われています。(多分SやNのデータでしょうか)
この時間を参考に逆算すると、仕事をされている受験生を想定すると、仕事から帰っての3時間と朝起きての1時間を週5日続けて、約20時間の確保。そして土日で20時間勉強すると仮定すると、1週間で40時間。800時間で割ると、20週間。そう、約5~6ヵ月。数字だけ見るとそんなに劇的に困難な勉強量ではありません。半年程度くらい、何かを犠牲にして勉強できない人はそもそもうかりません。
が、一日4時間(仕事から帰って3時間、朝1時間)を続けることはなかなか困難です。もし仕事が長引いて帰宅が10時になると、11時から勉強を始めて2時まで。4時間寝て朝の6時から1時間勉強する。これは仕事にも支障があることは明らかです。
上記のような、続かないスケジュールを大体で計画しても無意味なのです。
私は、学科に受かった年は設計事務所勤務でしたので、本当に時間がありませんでした。帰宅は大体10時くらい。土曜は仕事でした。初めは一日3時間くらい勉強していましたが、耐力の限界を感じたので、勉強量の概念を少し飛ばして、学校のテキストの目次を週ごとに割っていって勉強しました。
どんなに疲れても一度決めたスケジュールは絶対に消化しましたし、できなかったから明日やる的なことはしませんでした。逆に、早く勉強が終わった日は早く寝ました。
学科の範囲では、私は仕事に特に支障はありませんでした。
仕事が早く終わって18時くらいに帰った日は、すぐ勉強して10時くらいに寝る日もありました。
初めに計画したスケジュールが良かったわけではなく、週ごとに消化するノルマを決めて消化するという単純なルールが気楽で良かったのだと思います。1週間にこれだけをする、、となると、昼食の時間や電車の待ち時間など空き時間を利用して勉強しました。これは誇れます。ちょっとずつ部分的に勉強しました。
1日のノルマより週ごとの中目標くらいのほうが何となく頑張れる気がしません?
そして土日は思いっきり勉強しました。学校が開く前に自宅で自習して、学校の自習室で学校が閉まるまでやりました。
遊びや飲み、ドラマの時間はカットしました。その代わり、食事やお風呂、睡眠はゆっくり確保しました。
息抜きの時間は、食事・風呂・睡眠と割り切ってそれ以外は仕事と勉強しかしていません。そうして、私は学科は1回で受かりました。
人付き合いは疎遠になりましたが、体調崩さず無理なく1年間勉強できました。笑
切り替えができる図太い人
学科の試験問題は全部で125問。そして、600枝あります。
これら全部の整合が分かる人はいません。そして、4枝のうち、4枝とも完璧にわかる人もあまりいないと思います。
建築の知識がそんなになかった自分も、前に述べたような勉強法で、大体4枝のうち、2枝から3枝は分かるようになりました。
しかし、学校の模試や当日の問題でもどうしても4つとも
「?」
がでてくることもありました。もう「知らない」ことは答えるのは無理です。キーワードすら勉強してきたことから浮かばない場合は、
「具体的に数字が出てきているものを選ぶ」とか「問1を選ぶ」とあらかじめ決めておけばいいでしょう。多分他の人も分からないから、大丈夫だ!!
くらいの気持ちでOKです。1/4の確率であたりますし笑。
大切なのは、ひきづって次の取れる問題を落とさないこと。動揺しないこと。これは当日そうしようと思っていても無理です。日ごろからその考え方で、毎日の勉強で知らない問題が出てきたらちょっと考えて関連することが皆無であれば、飛ばして解説を見て覚えるくらいでいいでしょう。
マークシートですから、ムダに考える時間を消費するよりは、解ける問題に時間を費やして後は確率でOKです。
客観視できる人
特に製図は、建築技術教育普及センターの模範解答以外は正解は分かりませんし、この模範解答も正解例にしか過ぎません。
しかし、製図や計画の要点は人に計画内容を伝えることには変わりないので、
正しく、分かりやすくアピールする必要があります。
自分以外の評価する視点に立って製図・計画の要点をクリアすることが大切です。
誰が見てもきちんとゾーニングできている図面をつくる
製図の詳細な書き方は後日書きますが、製図試験のポイントはゾーニングに尽きます。はっきりしすぎるくらい、きちんとゾーニングできていれば第一関門はOKです。
そしてそのゾーニングが、階や東西、南北で見た目もきれいに分かれていればなおOKです。狭いから使い勝手が悪そう…この視点は設計者としては大切ですが、それにとらわれてゾーニングがきちんとできないくらいなら、ゆとりあるスペースが確保できていなくても、きちんとゾーニングしましょう。
製図試験はゾーニング試験と思ってください。もちろん、法適合や設計条件をクリアしていることが前提です。
使い勝手や広い・狭い等の主観は取り払ってOK。
審査する人は、均等に評価する必要があるので、ゾーニングできているかできていないかの基準は絶対にあります。
これをちきんとするためには、エスキス段階で、ゾーニングした後、2色でゾーニングを色付けしましょう。誰が見ても色がはっきり分かれていればOK。
きちんと客観的に考えられていると評価されます。にょろっと、あいまいなゾーンや動線交錯がないよう、ゾーニングを徹底しましょう。
正しい日本語で、短く要点を述べる
計画の要点は製図と同じ程度に非常に大切です。都市伝説で8割書いた方がいい等ありますが、大切なのは内容です。読みやすい文章と補足図で丁寧に計画の伝えましょう。
計画の要点に書く内容は、後日別のお話でお伝えします。
ここでは、かきっぷりのテクニックを説明します。
主語と述語を明確にする
相手に計画の要点を伝える場合は、誰が(何が)どうする等の主語と述語の関係をはっきりさせましょう。
×LOW-Eガラスの採用によって、日射熱の流入による室温上昇を防止して、空調が効きやすくなるよう配慮した計画とします。
〇南側の居室の窓にはLOW-Eガラスを採用し、日射量を制御して夏期の冷房負荷を軽減します。
上記は、環境負荷を軽減する記述の例です。
×と〇の要点の記載はどこが違うでしょうか。
×は、提案するものがどこに採用するかはっきりしていない。また、空調が効きやすくなるよう配慮した計画とします。は少し長く結局はっきりどうするの?と突っ込みたくなります。
〇は、「南側の居室」という主語や、「日射量を制御する」という目的、「夏期の冷房負荷を低減する」という述語が短い文で示されています。
少しでも短く、明快に伝えることで、書く手間もカットできますよね。そして要点では、はっきり言い切ること。遠回しのあいまいな表現でだらだら書かない!!
図は概念図としてできるだけ省略したものにする
断面図を書くときは、梁やスラブ等細かい建築的な要素は書かない。提案したいことだけを強調して書いてください。
平成29年の(1)で出題されているパッシブデザインについて特に考慮したこと(3つ以上)を書くとすれば以下のように書きます。参考にしてください。(近くにあったチラシに手書きですが…笑)
①居室の南面の窓にはライトシェルフを設置し、季節毎の日射量を制御しながら居室に自然光を取り込み、照明負荷を低減します。
②窓(南面)にはLOW-Eガラスを採用し、日射量を制御して夏期の冷房負荷を低減します。
③屋根にはトップライトを設置し、昼光を取り込むことで日中の電力負荷を低減します。
④居室の窓には網戸を設置し、防虫を図りながら卓越風を取り込み、換気負荷を低減します。
⑤居室と廊下の間の壁にはランマを採用し、階段室に抜ける風の通り道をつくり、廊下などの共用部の換気負荷を低減します。
⑥階段室には屋内外の圧力差で開閉するバランス換気窓を採用し、ベンチュリー効果を促し風の抜け道をつくって施設の換気負荷を低減します。
⑦廊下にはアースチューブからの給気システムを採用して、年間を通して安定した地熱を利用し、中間期の空調負荷を低減します。
⑧〇〇市の年間を通した少ない降水量(年間約1200mm)を有効利用するため、雨水貯留槽を採用し、外構の芝生への散水に利用して水資源を有効利用します。
等です。上記は解答例の一つですがこの程度の断面でOKです。最近は着色してよいか私は分からないですが、破線や実践、引き出し線を上手に利用して分かりやすくプレゼンしてください。
高効率機器(ハイブリッド給湯等)を使った省エネよりは、建築的手法(ライトシェルフ等)のネタを勉強しておくことが大切ですね!!